落下注意

140文字じゃ足りないこと

『僕らはみんな河合荘』:残念で不器用・コミュニケーションに溺れる我々

大学生になってから金銭的に多少余裕があるので、BOOK・OFFで漫画をオトナ買いすることが増えました。大体1500円~3000円ぐらいで漫画が1作(1シリーズの意)買えますし、気づいたらどんどんポチポチしちゃっているんですよね。

そして翌月末に魔法カードの請求書を見て仰天するやつ。

 

というわけで世間の流行から遅れること3周ぐらい、気にはなっていたけど読めていなかった宮原るり先生の『僕らはみんな河合荘』を読み終えました。以下感想とかです。尚ネタバレ注意です。ネタバレが致命的な作品ではないですしネ!

 

残念な住人達

言ってしまえばこのお話は主人公の宇佐くんが住むことになった河合荘でともに暮らす残念な住人達との日々を描く、といったものです。

ドMで無職な不審者なルームメイトのシロさん、コミュ障プロぼっちで本の虫な美少女という属性テンコ盛りなヒロイン律ちゃん、スタイル抜群の美女でアル中一歩手前で下ネタ大好きな男運✖の麻弓さん、お腹が漆黒でサークルクラッシャーな魔法女子大生の彩花ちゃん。

住人達だけでこんなに濃くて胸焼けしそうですが、他にもドS小学生や高校デビュー霊感少女など残念な登場人物がたくさん出てきます。

一筋縄ではいかないキャラクターが好きな人にはたまらないですね。

それでも魅力的な彼ら

先に述べたようにことごとく残念な彼らですが、それでもなお魅力的なのはただ残念なだけではないからでしょう。全員それなりの過去や悩みを抱えていて、今の自分から変わろうともがいています。そんな中時折見せる本懐、心の弱いところ。そして困っている隣人を助けようとする心が垣間見えたとき、漫画の中の彼らはとても生き生きとしています。

 

言葉にしないと伝わらない、言葉にしても伝わらない

登場人物の殆どが不器用で残念なので、色々な意味で人間関係が上手くいかないのは必定。また血の繋がった家族ならまだしも、積み重ねた時間も短く、いつかは分かれる日が来る程度の関係性である隣人や友人になんて思っていることが伝わらなくて当然です。

思っていることは思っているだけでは伝わらない。でも言葉にしたところで「正しく」伝わらないことの方が多い。タイミング、伝え方、言葉の選択エトセトラ…どれだけ気を使ったところで間違うときはとことん間違えます。

人と付き合うのってめちゃくちゃコスパ悪いやんけ…!それでも人がコミュニケーションをしようとあがくのは、通じ合った時の奇蹟のようなひと時が忘れられないからでしょう。

そんな伝えることの難しさと素晴らしさが『河合荘』のテーマなのではないでしょうか。

 

残念時々真面目な登場人物が繰り広げるラブコメディ、思わず今の下宿を引き払い、共用アパートに移りたくなるような作品です。

 

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