落下注意

140文字じゃ足りないこと

『うたかたダイアログ』:当意即妙ラブコメディ

今回は紹介するのは稲井カオル先生作の『うたかたダイアログ』全3巻。ツイッターで紹介されているのを見て面白そうだったので一気に全巻買ってしまいました。

全3巻っていいですよね。大人買い出来て且つ財布へのダメージは少なくちょっとした背徳感と罪悪感に溺れる程度で済む巻数です。

 

無意味で有意義な唯一の時間

この漫画の主人公は同じバイト先の同級生な2人。天然でいてクール、変化球なボケを繰り出す「宇多川」とヤンキーなのに恋愛脳(宇多川専用)で切れ味鋭いツッコミが持ち味の「片野」が日々無駄な会話をするだけ、というだけのお話です。ちなみにボケとツッコミは入れ替わり制でどちらもこなします。

 

「うたがわ」と「かたの」の会話=ダイアログだから「うたかたダイアログ」。泡沫(うたかた)のように浮かんではすぐに消える、明日になったら忘れているような日々のしょうもない無駄話を描いただけの漫画ですが、軽妙なトークと丁寧なキャラクター描写があいまりとても面白いのです。

 

青春の輝き、あるいはI need to be in love

まぁこの見出しはカーペンターズの同名の曲「I need to be in love 」とその邦題「青春の輝き」から取ったのですが、非常に良い訳だと思いません?さらに余談ですがこの曲はTBSのドラマ「未成年」の主題歌だったそうです。未成年の青春の輝き。そこもまた“良い”です

閑話休題。軽く前述しましたが片野は宇多川に惚れています。バレバレです。一方の宇多川は片野にまるで気がないようでいて、時折ドキッとしたりしなかったり。

2人の縮まるようでいて縮まらない、忘れたころに急接近する「青春の輝き」も魅力です

 

無駄話は青い鳥

この漫画の全ては最終回のモノローグに凝縮されているように思います。

美しい青春なんて追い求めなくても

探しているものは意外とすぐ近くに

例えばこんな

どうしようもない無駄話の中に

休み時間に、帰り道に、教室で、電車のホームで、食堂でした無駄話。すぐに忘れていたりいつまでも覚えていたり。ラブとコメディのバランスが絶妙な青春のロスタイムを思い出せるような良作です。

興味を持った方は全3巻なので気軽にお試しください。

そして花とゆめで連載をリアタイで追っていた方、3巻書き下ろしのエピローグのためだけでも買う価値があるのでぜひ!!マジで!!!

 

 

うたかたダイアログ コミック 全3巻セット

うたかたダイアログ コミック 全3巻セット