落下注意

140文字じゃ足りないこと

夢の残骸

昔サッカーをしていた時は人並みのサッカー少年らしくプロ選手に憧れていた。サッカーは小学校3年生で転校した際にやめた。

 

小学生の頃『HERO』というドラマを見て、将来は検察官になりたいと思っていた。一方でちょうどその頃、何かの折で将来の夢に書いた時「社長になってお金持ちになりたい」としたのを覚えている。社長の具体的なイメージは全くなく、ただ何となく本音であった検察官と書くのが恥ずかしかったのだ。その程度の覚悟の奴が検察官になれるわけがなかったし、本当に心の底から憧れているわけでもなかった。

 

中学生の頃、『バクマン。』を読んで漫画家になりたいと思った。絵が下手だったので断念した。絵の練習方法を調べることはなかったし、あるいはストーリーや見せ方で勝負しようとも思わなかった。漫画家は自分にとってそこまでのものではなかったのだ。

 

高校生の頃に進路指導のY先生に将来の夢を聞かれた際に、作家になりたいと答えた。その先生は熱心に作家になるにはどうしたらいいか、そしてなれなかった時の人生設計の仕方を考えてくれた。あれから数年、小説は1文字も書いていない。Y先生に、本当にすみません。

 

大学受験の時、ちょうど弁護士が出てくるとある作品に影響されて法学部を受験した。結果が出る頃にはその熱はすっかり冷めており、合格していたが法学部に進学はしなかった。正解だと思う。親には法学部の学費の方が安かったのにと未だに愚痴を言われるが。

 

大学生活の中で教師が主人公の漫画を読んでいた頃は教職課程を履修していたし、料理人に憧れ自炊に凝っていた時期もある。

 

周囲の影響を受けやすく、自分の芯がないので今まで色々な「将来の夢」を懐いてきた。だがそのうち、第1歩を踏みしめたものすらない。結局は全て夢だったのだ。本気で追いかける現実ではなかったのだ。

夢を叶えられる人間は、夢を夢と思わず今の自分の延長線上にある確かな現実だと思って行動出来る人間なのだと思う。